技能実習生の日本語レベルは?入国後講習とは?技能実習生の研修について解説!

技能実習生を受け入れるにあたって真っ先に出てくる懸念点と言えば「言語の壁」でしょう。
言葉が通じなければ、仕事を教えることもままならず、受け入れ側は技能実習生との会話を成り立たせることだけに時間を割かれることになりかねません。

建築や農業などいった業種は、技能実習生と受入企業の2者間での会話のみで十分なことがほとんどで、技能実習生が仕事を覚えさえすれば、日本語で会話しなくても身振り手振りで伝わるという話も多いです。

では、介護職種ではどうなのでしょうか? 
この記事では、介護技能実習生の日本語レベルはどれくらいか、そして、入国後講習とは何なのかについて解説していきます。
ぜひご覧ください!

介護職種は高い日本語能力が求められる

介護は業務の特性上、介護職員には、お客様である介護入居者との会話が求められます。介護職種の技能実習生にも同様に入居者とのコミュニケーションが求められます。
仕事を覚えたから日本語を話す必要がない」とはならず、むしろ日本語を覚えて使っていくことこそが仕事であると言えます。

そんな介護技能実習生の日本語レベルはどれくらいなのでしょうか?次の章で解説していきます。

介護技能実習生の日本語レベルは?

まず日本には日本語を母語ちしない人の日本語能力を測定し認定する試験として「日本語能力試験」というものがあります。
日本語能力試験にはN1、N2、N3、N4、N5の5つのレベルがあります。いちばんやさしいレベルがN5で、いちばん難かしいレベルがN1です。

ちなみに、N1~N5がどれくらいのレベルなのかは、以下の通りです。

読む聞く
N1・幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。
N2・幅広い話題について書かれた新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる。
・一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現意図を理解することができる。
・日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり、要旨を把握したりすることができる。
N3日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を、読んで理解することができる。
・新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができる。
・日常的な場面で目にする難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば、要旨を理解することができる。
・日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞きいて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。
N4基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。
N5・ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文章を読んで理解することができる。・教室や、身の回りなど、日常生活の中でもよく出会であう場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる。

介護技能実習生は全員N4レベル!

技能実習生は、入国前・入国後講習で日本語の勉強を行い、その受講期間中に日本語能力試験N4に合格してから、実習に参加します。

日本語能力試験N4合格者

  • 基本的な日本語を理解することができる程度のレベルといわれています。
  • 読む能力:基本的な語彙や漢字を用いて書かれている日常的な内容であれば読んで理解することができます。
  • 聞く能力:日常的な会話であれば内容をほとんど理解することが可能です。
  • 一つ下のレベルと異なる部分は、定型的な文章でなくても読んで理解ができることと、短い会話でなくても内容がほぼ理解できるという点です。

技能実習制度の入国後講習とは?

技能実習生の受け入れにあたっては、監理団体が講習を行うことが義務づけられています。
入国後講習の時間は、技能実習1号ロ(またはイ※)の場合、活動予定時間の6分の1以上です。例えば、技能実習1号ロ(またはイ)の活動時間が1,920時間と予定されている場合、その6分の1である320時間以上の講習が必須です。

入国後講習を1ヶ月にする方法

義務付けられている講習は、技能実習1号ロの活動予定時間の6分の1以上、つまり「2か月」必要となります。
それだと早く技能実習に来てほしい受入企業に不満が溜まってしまいますが、その講習期間を1ヶ月にする方法が存在します。
その方法とは、
送出し機関による入国前講習を1ヶ月以上行う事です。
詳細には、過去六月以内に、一月以上の期間かつ百六十時間以上の課程を有し、座学により実施される講習を受けることが、入国後講習期間を1ヶ月にする方法となります。

入国後講習の講習内容は?

では、そのような講習で技能実習生は何を学んでいるのでしょうか?また、どのような内容を講習で学ぶことが要件となっているのでしょうか?

以下の表に介護技能実習生が受講する入国後講習の必須科目等をまとめました。

日本語総合日本語①文法(文の文法、文章の文法)
②語彙(文脈規定、言い換え類義、用法)
③待遇表現
④発音
⑤正確な聞き取り
⑥話題に即した文作成
聴解①発話表現
②即時応答
③課題理解
④ポイント理解
⑤概要理解
読解①内容理解
②情報検索
文字①漢字読み
②表記
発音①拍
②アクセント
③イントネーション
会話①場面に応じた表現
②文末表現
作文①文章構成
②表現方法
介護の日本語①からだの部位等の語彙
②介護の場面に応じた語彙・声かけ
技能の修得等に資する知識介護の基本Ⅰ・Ⅱ①介護の基本Ⅰ:
介護職の役割、介護職の職業倫理、
介護における安全の確保とリスクマネジメント、
介護職の安全、介護過程、介護における尊厳の保持・自立支援
②介護の基本Ⅱ:
からだのしくみの理解、
介護を必要とする人の理解(老化の理解、認知所の理解、障害の理解)
コミュニケーション技術①コミュニケーションの意義と目的
②コミュニケーションの基本的技法
③形態別コミュニケーション
移動の介護①移動の意義と目的
②基本的な移動の介護(体位変換、移動(歩行、車いす移動等))
③移動介助の留意点と事故予防
食事の介護①移動の意義と目的
②基本的な移動の介護(体位変換、移動(歩行、車いす移動等))
③移動介助の留意点と事故予防
排泄の介護①排泄の意義と目的
②基本的な排泄の介護(ポータブルトイレ、便器・尿器、おむつ等)
③排泄介助の留意点と事故予防
衣服の着脱の介護①身支度の意義と目的
②基本的な着脱の介護
③着脱介助の留意点と事故予防
入浴・身体の清潔の介護①入浴・身体の清潔の意義と目的
②基本的な入浴の介護(特殊浴槽、チェアー浴、一般浴槽等)
③入浴以外の身体清潔の方法 (足浴・手浴、身体清拭)
④褥瘡の予防
⑤入浴・身体清潔の介助の留意点と 事故予防

日本語だけでなく、介護技能等に関する科目も必須科目として含まれています。実際に技能実習を行う前に、介護の勉強を行う事で事前知識を蓄え、スムーズかつ効果的に技能実習が行えるようになっています。

まとめ

ここまで介護技能実習生の日本語レベルはどれくらいか、そして、入国後講習とは何なのかについて解説してきました。

個人差はありますが、他の業種に比べ、介護技能実習生の日本語レベルは高いです。業務について教える際には理解できる、また、技能実習生が分からないことがある時には日本語で質問できるレベルにあると言えます。
技能実習生を受け入れるにあたり、言語間の壁はかなり大きい障害です。しかし、介護という職種で技能実習生を受け入れるのなら、その壁は他の業種よりも低いと言えるでしょう。

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