【寒冷地にピッタリ】農作業請負方式技能実習について概要・メリットを解説します!

寒冷地における技能実習「農業」の問題点

①寒冷地では冬場にほとんど農作業がない

寒冷地(特に東北地方)では、気温が下がり雪が積もります。そのため、基本的には冬場の農作業はなくなってしまいます。これは、寒冷地においては当たり前の話であり、農家は農業ではない作業を屋内で行うのが一般的です。
しかし、農業技能実習生を受け入れる場合、問題が起きてしまいます。

②冬場に技能実習生が行う業務がなくなる

技能実習制度では、実習期間の2分の1以上を充てなければならない「必須業務」と呼ばれるものが定められています。

農業職種も例外ではありません。農作業がなくなる冬場(農閑期)は短くて12~3月の4か月間ですが、その間農業をしないのであれば、この必須業務や関連業務の条件を満たすことが難しくなります。
さらに、農作業をしない期間も技能実習生に給与を支払い続けなければいけません。

③技能実習生を短期雇用型で受け入れる

必須業務の条件、冬場の給与という問題から、技能実習生を通年で雇用するという形はあまり採られてきませんでした。
その代わりに、7~10か月間という短期での雇用が行われてきました。この短期雇用型受入により、上記の問題は解決することが出来ます。
しかし、この雇用形態は良い部分だけではありませんでした。

④毎年一から指導しなければいけない

技能実習制度と人材派遣は、一見同じようなものだと思えますが、実際は異なる制度です。同じ技能実習生に対して、特定の時期だけ来日してもらい、業務がなくなれば帰ってもらうという派遣と同じ形では、技能実習生を扱う事はできません。

そのため、短期雇用型では、農繁期のみ技能実習を行い、その時期が過ぎれば、技能実習生を帰国させていました。
結果、毎年異なる技能実習生を受け入れることになります。ここで問題となるのが、その毎年変わる技能実習生ごとに業務を指導しなければならないという点でした。
来日一年目で、生活もコミュニケーションも慣れていない技能実習生に業務を教える、という事を毎年繰り返すわけです。

この毎年受け入れる技能実習生が変わるという点が、短期雇用型のデメリットでした。

2019年 農作業請負方式 導入

これを受けて、農林水産省は「農作業請負方式技能実習」という新たな形の技能実習をスタートさせました。

農作業請負方式とは

出典【農林水産省:農作業請負方式技能実習スキーム】

農作業請負方式とは、農業協同組合が個々の農業者と農産物生産に関する請負契約を結び、その農協の指揮命令の元、農業者が自身の農場で技能実習生に対して、農産物生産などの実習を行わせるやり方です。

このやり方では、技能実習生を農協が所有する集出荷施設や農産物加工場で作業させることも可能になるので、通年で技能実習生を雇う事が可能になります。
例)農業のシーズンは、個々の農家さんの下で実習を行わせ、オフシーズンの冬場は農協が集荷センターで実習を行わせる。

農作業請負方式のメリット

・柔軟性の向上:少数の実習生で複数の農家圃場での作業を行うこともできる
・農協の負担減:農協が実習実施者として受け入れることで、受け入れにかかる監理業務は監理団体に任せられる
・通年雇用が可能になる

農作業請負方式のデメリット

・専門的に実習生の指導を行うスタッフを確保し、圃場等の現場では職員が指示を出すなど、請負偽装とならない対処を採る必要がある。
・事業協議会支部の設置と監督が義務づけられる。
・農協が実習実施者であるため、1件でも不正が起これば、処分されるのは農協であり、農協が管轄する地域全体の受入が停止することになる。
・その注意を促すための指導体制の整備が求められる。

事業協議会支部 農作業請負方式を運用するために

事業協議会支部は、農作業請負方式技能実習を適正に実施するために、次に掲げる業務を行います。

  • 技能実習計画の確認、適正に実施されることが確認できた時の通知
  • 技能実習の実施状況の確認
  • 監理団体、実習実施者、請負契約を締結した農業経営体への指導・助言
  • 実施者に対する現地確認・指導
  • 技能実習の実施状況、課題の把握。対応方策の検討 
  • 構成員への必要な情報の提供、実習生の保護

つまり、事業協議会支部は、通常の技能実習における外国人技能実習機構(OTIT)とほぼ同じ業務を行います。

まとめ

ここまで、寒冷地での技能実習「農業」の問題点、そして対策である「農作業請負方式技能実習」について解説してきました。

この「農作業請負方式技能実習」が生まれたことで、冬場に仕事がなくなるから、技能実習生を受け入れられないと考える必要はなくなりました。
これまで、技能実習生の受入をためらっていた方も、ぜひ受け入れをご検討してみてください。

それではっ!

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